虚血性心疾患

虚血性心疾患とは

「狭心症」や「心筋梗塞」といった、動脈硬化の進行を原因とする心疾患のことを指します。
冠動脈が狭くなり心臓への血液の流れが悪くなったり詰まったりすることが要因となります。

狭心症

冠動脈の狭窄を原因として血液の流れが悪くなり、虚血状態となる疾患です。胸の痛み、締め付けられるような圧迫感を感じるといった症状が現れます。安静にしていれば鼓動や痛みは落ち着きますが、最悪の場合死にいたる危険な状態であり、心筋梗塞の予兆であるケースもありますので、速やかな受診が必要です。狭心症は、労作性狭心症と異型狭心症(冠攣縮性狭心症)の2種類に分けられます。

心筋梗塞

心筋梗塞冠動脈が完全に詰まってしまっている、狭心症より虚血の程度が強い疾患です。結果、心臓の筋肉の一部が壊死してしまいます。左胸付近を中心に非常に強い痛みや圧迫感を感じるほか、腹部や胸の中心などが痛む場合もあります。すぐに救急治療を受けなくてはならない危険な状態です。

虚血性心疾患の原因

虚血性心疾患は主に動脈硬化により引き起こされるため、動脈硬化に繋がる高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満などが第一の原因となります。
また、ストレスや攻撃的な性格もリスクを高めることが分かっているほか、加齢、家族歴といった予防できないリスク因子も存在しています。

虚血性心疾患の症状

虚血性心疾患では冠動脈の血流が悪くなり心筋の酸素不足を引き起こしますので、
胸の痛みや圧迫感、締め付けられたり押されたりするような鈍い痛みを感じるといった症状が現れます。

狭心症

締め付けられるような苦しさや圧迫感、痛みを感じますが、1〜3分程度という短い時間で治ることが多く、長くても20分程度です。階段や坂道を上ると胸が痛くなったり、締め付けられるような感覚を覚えたりしますが、しばらく安静にしていると症状は治ります。

労作性狭心症

主に動脈硬化によって冠動脈に狭窄が生じることで発症します。歩行時や階段の昇降時などに症状が起こりますが、安静にしていると症状は落ち着きます。症状が起こる頻度が高くなったり、安静にしていても症状が生じたりする場合は、不安定狭心症を発症している可能性があります。
これは心筋梗塞にも繋がる危険性が高く、緊急の治療が必要となります。

異型狭心症(冠攣縮性狭心症)

冠動脈が極度に縮み(攣縮)、心臓に栄養が行き届かなくなる狭心症です。
主に朝の決まった時間帯に発生することが多いですが、喫煙や飲酒の後に発症するケースもあります。

心筋梗塞

突然、胸の激しい痛みや息苦しさといった症状が発生するほか、冷や汗や嘔吐を伴う場合もあります。発作は20分以上と長い時間続き、命に関わる状態です。早急に救急治療を受ける必要があります。
血縁者に狭心症や心筋梗塞を発症した方がいる場合や、喫煙者、高血圧、脂質異常症、糖尿病などに該当する場合はリスクが高いといえますので、特に注意が必要です。

虚血性心疾患の治療

一般的には薬物療法がまず実施されるほか、カテーテル治療やバイパス手術なども検討されます。

薬物治療

ニトログリセリン

虚血性心疾患は主に動脈硬化により引き起こされるため、動脈硬化に繋がる高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満などが第一の原因となります。また、ストレスや攻撃的な性格もリスクを高めることが分かっているほか、加齢、家族歴といった予防できないリスク因子も存在しています。

β遮断薬

血圧を下げて心拍数や心筋収縮を抑えることで、心臓の筋肉が必要とする酸素の量を減らし、狭心症発作を防ぎます。

カルシウム拮抗薬

血圧を下げ、冠動脈を拡張させます。

アスピリン

抗血小板作用により血液を固まりにくくし、血栓の発生を防ぎます。

※上記以外にも使用される薬物として、ACE阻害薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、スタチン系薬剤などが挙げられます。

虚血性心疾患の予防

虚血性心疾患の予防血圧とコレステロール値を管理することが第一の予防策となるため、生活習慣の改善が必要不可欠です。 虚血性心疾患は動脈硬化が引き金となるため、動脈硬化のリスクを高める、加齢、生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症など)、肥満、運動不足、喫煙、遺伝などの要因に注意する必要があります。
加齢と遺伝以外は改善が可能なリスク因子といえますので、積極的に対策をしていきましょう。

高血圧症の管理

高血圧による心臓への負担を減らすため、生活習慣改善や薬物治療でコントロールしましょう。

食事療法

塩分の制限

高血圧の予防に繋がります。

コレステロールの管理

肉や卵などの動物性脂肪を控え、植物性脂肪やイワシ、サバなどの青魚をとることがコレステロールの適正な管理に繋がります。

野菜

野菜はコレステロール吸収を抑える食物繊維を豊富に含んでいるため、積極的に摂取しましょう。なお、果物には果糖が含まれているため、とりすぎには注意が必要です。

運動療法

軽度でも習慣的な運動を行うようにしましょう。毎日5000歩以上のウォーキングが目安となります。通勤などで1駅分歩く、エレベーターやエスカレーターを避けて階段を使うようにするといった小さな努力でも効果に繋がります。
ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、関節などにあまり負担がかからないというメリットがあるほか、虚血性心疾患以外のさまざまな生活習慣病の予防や進行抑制に効果的であるため、継続を心がけましょう。

禁煙

喫煙は血管を細くしてしまい動脈硬化の要因となるため、禁煙を検討しましょう。

TOPへ