不整脈とは
心臓は電気的な刺激によって、休むことなく規則正しい収縮・拡張のリズムを刻み続けています。不整脈とは、電気的な刺激に異常が発生し、心拍数や鼓動のリズムが不安定になってしまっている状態のことをいいます。
不整脈の中には治療を必要とせず経過観察のみの処置になるケースもありますが、まずはご自身の不整脈のタイプ診断をしてもらうことが大切です。不整脈の患者数は非常に多く、自覚症状がない方でも実は不整脈であることが多くありますので、注意が必要です。
不整脈の種類
不整脈には徐脈(ゆっくり打つタイプ)、頻脈(速く打つタイプ)、期外収縮(リズムが不規則になるタイプ)の3つのタイプがあります。
ゆっくり打つ徐脈
1分間の脈拍が40回以下だと徐脈に該当します。
原因としては、心臓を動かす電気的刺激を作り出す場所に異常が起きて電気が作られなくなる、また電気の通り道の異常により電気が通りにくくなるといったことが挙げられます。
速く打つ頻脈
1分間の脈拍が120回以上だと頻脈に該当します。ただし、運動や興奮などによって発生している場合は異常ではありません。
原因としては、心臓を動かす電気的刺激が作られるペースが異常に早い、または電気の通り道に異常があり空回りしているといったことが挙げられます。
脈がとぶ・抜けるなど不規則に打つ期外収縮
不整脈の中で一番多い症状です。心臓を動かす電気的刺激が、本来なら作り出されない場所から発電されることで、脈がとんだり、余計に多く打ったりするなど、心拍数や鼓動のリズムが不安定になります。
心筋梗塞、心筋症、弁膜症などのリスクを高め、突然死に繋がる可能性もあります。
不整脈の原因
不整脈の原因として、冠動脈疾患、心臓弁障害、心不全、先天性心疾患など心臓に起因する疾患を発症している可能性があります。また、加齢やストレス、睡眠不足、疲労、自律神経の興奮といった原因も考えられます。
主な不整脈の原因は以下の通りです。
- 過労、蓄積疲労
- ストレス
- 睡眠不足
- 生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満など)
- カフェインのとり過ぎ
- アルコールのとり過ぎ
- 喫煙
- 熱い風呂
上記のような原因により不規則な電気刺激が発生すると、心臓の動きも不規則になり不整脈となります。
不整脈の症状
不整脈の症状はタイプによって異なります。頻脈の場合はドキドキする・動悸や息切れがあるといった症状、徐脈の場合はフラつく、めまい、意識がなくなる、卒倒や失神するなどの症状、期外収縮の場合は脈がとぶ感じがする、胸周辺に不快感や痛みといった症状です。
ただし、自覚症状がないケースも多いため、検査を受けてはじめて不整脈だと判明することも多いです。
代表的な症状
頻脈
- 動悸や息切れがする。心臓がドキドキする
激しい頻脈の場合、めまいや冷や汗などの症状が現れたり、意識を失ったりすることもあります。
徐脈
- 身体を動かすのが辛く感じる
- 息切れがする
- めまいがする、ふらつく
ひどい場合は、意識がなくなり失神することもあります。
期外収縮
自覚症状はない場合がほとんどです。
時折、胸にぼんやりと不快感がある、胸に痛みを感じるといった症状が現れることがあります。
不整脈の診断方法
安静時12誘導心電図検査
ベッド上に身体を寝かせた状態で、手足と胸の計12箇所に電極を貼り付け、心電図を記録します。
ホルター心電図
一時的な心電図検査では心臓の異常が分からない可能性があるため、患者様の日常生活の中で24時間心電図を記録します。
心臓の状態がより詳細に分かるため、異常を発見しやすくなります。
心エコー、胸部レントゲン検査
心臓の弁や筋肉の状態を調べることは、不整脈の原因を探るためには重要です。
心エコー検査によって心臓の収縮力、弁の動き、筋肉の厚さ、心房・心室の大きさなどを調べることができれば、不整脈の原因となっている心臓の弁や心筋の病気が分かります。
不整脈の予防・治療
主に抗不整脈薬などを用いた薬物治療を実施し、不整脈を抑えたり脈拍をコントロールしたりできるようにします。
また、場合によってはペースメーカーや植込み型除細動器を用いた外科的治療が必要になることがあります。
徐脈治療(ペースメーカー治療)
徐脈解消のためには、人工ペースメーカーと電線を植え込む治療を行います。
これらの機械により、遅くなってしまった脈を補助する電気刺激を与えることができます。日常生活に支障がないレベルまでの回復を可能にする治療法です。
頻脈治療
まずは主に薬物による治療を実施します。患者様それぞれの病状に合わせて、抗不整脈薬や血液の固まりを溶かす薬などを用います。 ほかにも、高周波カテーテル・アブレーション治療を実施する場合もあります。カテーテルという専用の細い管を足の血管から心臓に通して高周波を流すことで、異常な電気の発生を抑えたり、異常な電気が通るのを防いだりします。
上記のような治療が難しい場合には、ICD(植込み型除細動器)治療も選択肢の一つです。心拍数が基準を上回った時、発生した余計な脈を植込み型除細動器が停止させてくれます。これにより、不整脈による突然死を防ぐことができます。
AED(自動体外式除細動器)について
心室細動を起こして倒れた人を電気ショックにより蘇生させる装置です。使い方が分かりやすく図解されているなど、誰でも簡単に使用できるようになっています。
AEDによって救命に成功したケースは報道などでも取り上げられているため、ご存知の方も多いでしょう。最近では多くの施設に設置されています。自治体などでAEDの使い方講習が開かれていることも多いですので、ご自身や身近な人が不整脈をお持ちの場合、一度講習を受けられるのが良いでしょう。